橋梁製作の未来を拓く:MAHSRプロジェクトを背景とした日本とインドの製作技術の比較分析
シュリー・ラジニーシュ・サロージ,GM/土木/NHSRCL

本技術論文は、日本で採用されている鋼橋製作工法とインドにおける伝統的な慣行との比較分析を掘り下げ、特にムンバイ・アーメダバード高速鉄道(MAHSR)プロジェクトにおける日本技術の導入・適用に焦点を当てています。機械化、高精度化、そして厳格な品質管理を特徴とする日本の最先端の鋼橋建設アプローチを、インドで従来用いられてきた工法と対比させながら検証します。本論文は、日本式の工法によって達成された目覚ましい進歩と、それらが建設業界における新たな標準を確立し得る可能性を強調しています。また、インドの伝統的な慣行において、精度、トレーサビリティ、および品質管理のさらなる向上が必要である点についても指摘しています。MAHSRプロジェクトをインドにおける日本技術の影響を示す顕著な事例として取り上げることで、本論文は、建設産業の発展における知識交流および技術移転の重要性を強調しています。最終的には、インドにおける鋼橋建設の品質と耐久性を向上させるため、日本の「ベストプラクティス(最良の慣行)」の導入を提唱し、革新的かつ持続可能なインフラ開発に向けた協調的な道筋を提示しています。 インド初の高速鉄道プロジェクトであるムンバイ・アーメダバード高速鉄道(MAHSR)の始動は、建設業界に革命をもたらす革新的なエンジニアリング技術の到来を意味するものです。鋼橋はMAHSRの基盤を成す要素であり、設計や製作から、支承システム、塗装に至るまで、極めて重要な役割を担っています。本論文では、MAHSRプロジェクトが範としている日本の鋼橋製作に関する専門技術と、インドの建設慣行に深く根付いた伝統的な工法との、ダイナミックな融合について探求します。

導入

世界各地に目を向けると、日本の明石海峡大橋(全長1,997メートル、1998年竣工)やレインボーブリッジ(全長798メートル、1993年竣工)、米サンフランシスコのゴールデンゲートブリッジ(全長1,280メートル、1937年竣工)、さらにはインド国内のハウラー橋、チェナーブ橋、ボギビール橋など、数多くの橋が共通してある一つの要素を共有しています。それは「鋼(スチール)」です。

近年、インドでは鋼橋の建設が急速に増加しており、70メートルから100メートルにも及ぶ驚異的な支間長(スパン)を持つ橋が次々と誕生しています。道路橋であれ鉄道橋であれ、鋼構造は極めて重要な地位を確立しており、その代表例として、見る者を圧倒するチェナーブ橋が挙げられます。MAHSRプロジェクト(ムンバイ・アーメダバード高速鉄道計画)においても、最大で130メートル+100メートルという連続支間長が採用されていることは、橋梁建設における鋼材への依存度がますます高まっていることを如実に物語っています。

1. 明石海峡大橋(日本)

インド初の高速鉄道事業であるMAHSRプロジェクトは、こうした変革を如実に物語る事例です。28の橋梁と49のスパンにわたり、総計約7万トンの鋼材が投入される本プロジェクトでは、単純支持スパンと連続スパンの双方が採用されており、後者は最大で130メートル+100メートルという圧巻の長さに達しています。

2. チェナーブ橋(インド)

橋梁の製作工程は、ブージ、ワルダ、ドゥルガプール、ティルチラーパッリといった各地に戦略的に配置された複数の工場へと分散されています。これらの工場は、いずれも鋼橋製作において長きにわたる輝かしい歴史を誇る拠点です。しかしながら、MAHSRプロジェクトが求める極めて厳格な基準を満たすためには、各工場において大幅な設備強化と、徹底した献身的な取り組みが不可欠でした。

本稿では、品質と革新を追求する一連の取り組みを詳述するとともに、著者が日本の大阪近郊にあるIHIの「堺工場」を視察した際の、極めて示唆に富む体験についても掘り下げて紹介します。月間3,500トンという生産能力と完全な機械化体制を誇る同工場は、橋梁製作において達成可能な品質と精度の水準を示す、まさに卓越したベンチマーク(指標)となっています。

1. GAD 1134、MAHSR

本稿の以降のセクションでは、日本の製作慣行とインドの伝統的な手法について詳細な比較を行う。その皮切りとなるのは、製作技術や要件の絶え間ない変化に対し、各工房がどれだけ適応できているかを測る「リトマス試験紙」としての役割を果たす、極めて重要な「試作工程」である。

鋼橋の製作工程
試作

実際の製作作業に着手するに先立ち、各製作工場において試験製作(部分モックアップ)が実施されます。この工程は、最適化かつ標準化された製作作業手順を確立することを目的としています。試験製作は、最大支間長を有する橋梁の重要節点部を対象とし、実物と同寸法の部材を用いて行われます。

2. 重要なバタフライ型ノーズの試作

試験製作には約90トンの鋼材が割り当てられており、この段階で使用される鋼材は、本製作で使用されるものとは異なるものが用いられます。部材における完全溶け込み溶接および隅肉溶接については、試験製作から採取された試験片を用いて、破壊試験による厳密な検証が行われます。この試験片は長さ500mmとし、溶接線から100mm離れた位置で切り出されます。これらの溶接部に対して実施される破壊試験には、引張試験、曲げ試験、マクロ試験、シャルピー衝撃試験、およびビッカース硬さ試験が含まれます。一連の試験は、溶接プロセスおよび溶接作業員双方に対する、さらなる品質保証の層として機能します。

5. エンドクロスビームの試作(組立を含む)
原材料

橋梁建設に使用される鋼板、形鋼、圧延鋼材、および圧延形鋼を含む構造用鋼材は、IS 2062、IS 808、IS 1739、IS 1173、IS 3601など、複数のインド規格に準拠しています。E250B0からE410Cに至るまで、多岐にわたる鋼種が橋梁の様々な構成部材に適用されています。

ただし、厚さ25mmを超える鋼板については、追加の要件として「短手方向絞り(STRA)試験」が課されます。これは、板厚方向(短手方向)における材料の延性を評価するための引張試験です。橋梁建設においては最大50mmもの厚さを持つ鋼板が使用されるため、この試験は極めて重要であるとみなされています。

6. 日本の製鉄所から供給される亜鉛めっき鋼板

さらに日本は、製鉄所段階で鋼板への防食塗装を義務付けるという、先駆的な措置を講じています。圧延工程を終えた鋼板は、ブラスト処理を経て亜鉛リッチ塗料による塗装が施され、これにより保護層が二重に強化されます。この取り組みにより、鋼板の保管期間を長期化させることが可能となり、作業場の能力が一段と拡充されました。

CNC切削の進歩

コンピュータ数値制御(CNC)による切断加工は、様々な作業現場において確固たる地位を確立しており、その普及はますます進んでいます。CNC機械への主要な入力データとなるのが「ネスティング計画」であり、これは適切な切断線を設定することで、鋼材の使用効率を最適化するものです。ムンバイ・アーメダバード高速鉄道(MAHSR)プロジェクトにおいては、構成部材が多種多様な曲率や形状を有していたことから、CNC切断機が極めて重要な役割を果たしました。

7. 日本における切断用ベッド
8. インドにおける切断用ベッド

MAHSRにおける追加要件の一つとして、従来用いられてきたLPG炎に代わり、酸素アセチレン炎を使用することが求められています。この選択は、酸素アセチレン炎がLPG炎(1,980°C~2,230°C)と比較して、3,480°C~3,900°Cという極めて高い温度を実現できる点に起因しています。これにより、切断作業が加速されるだけでなく、より滑らかな切断面が得られるようになります。

9. 日本におけるプレートへの表示

切削後の歪み、特にスイープ現象は、よくある懸念事項です。適切に管理されたプロセスでは、歪みは通常、測定後に初めて明らかになります。さらに、CNC技術は、楕円や円などの不規則な形状の精密切削に優れています。

また、日本では、切削前にプレートに切断線、部品番号、嵌合線をマーキングするためにCNCを活用しており、歪みやスイープなどの欠陥の検出において優位性を発揮しています。さらに、日本のCNC工作機械は、切削ベッドの支持材として鋼板ではなく鉄製の歯を採用しているため、損傷が少なく、メンテナンスも容易です。

10. インドにおけるプレートへの刻印なし

要約すると、CNC切断は広く普及しており、MAHSRプロジェクトにおいては、より優れた成果を得るために酸素アセチレン炎が採用されています。切断後に生じる歪みについては精密な測定によって対処されており、また、日本のCNC技術は、欠陥の特定やサポートベッドの設計において独自の利点をもたらしています。

ボックス型ボール盤とマッチドリル

治具や固定具を用いた従来の手法は、現代的な機械設備へと徐々に取って代わられつつあります。従来の手法では、特定の要件に合わせてプレートを切断し、治具を用いて穴あけ加工を行っていました。しかし、この方法は煩雑であるうえ、精度にも欠けることが判明しました。プレートの段階で穴あけを行うという手法は、溶接後に歪みが生じないことを前提としていましたが、実際には溶接によって歪みが生じやすいという事実は広く知られています。その結果、穴の位置や配置にずれが生じ、様々な手段を用いて修正を行う必要が生じていました。

11. ボックス型ボール盤

新型のボックス型ボール盤を導入することで、部材の複数の面に同時に穴あけ加工を施すことが可能となり、穴群間の位置関係を正確に維持できるため、溶接後の歪み修正作業の必要性を低減することができます。しかしながら、ボックス型ボール盤を用いて重量級のセグメントを取り扱うことは困難を伴う場合があり、特に部材のサイズが機械の加工可能範囲を超えるようなケースでは、その難易度は一層高まります。このような場合には、マッチドリル(合わせ穴あけ)用の治具を用いた加工手法が採用されます。

MAHSRプロジェクトにおいては、製作工程においてボックス型ボール盤が活用されたほか、特定の状況下ではマッチドリルによる加工も併用されました。これに対し、日本側は革新的な技術を導入しました。これは、鋼板の切断加工を行う前の「板材(プレート)段階」において、あらかじめ穴あけ加工を施しておくという手法です。この技術は、部材の歪みや収縮をほぼゼロに抑制することが実現可能な場合に、極めて有効な手段となります。なお、この手法は後に当社の工場の一つにも導入されることとなりました。

溶接士の認定および溶接

溶接において、求められる強度やサイズを確保することは、決して困難な課題ではありませんでした。むしろ、私たちが注力してきたのは、日本国内の基準に匹敵するような「仕上げ」を実現することにありました。当社の溶接担当者は、往々にして溶け込みを深く取りすぎたり、溶接サイズを過度に大きくしたりする傾向があります。こうした手法は強度要件こそ満たすものの、溶接資材や電力といった消耗品、さらには作業時間や後工程での研削作業など、リソースの消費増大を招く結果となります。最終的な仕上げの質を向上させるためには、溶接プロセスの慎重な選定や、溶接担当者に対する包括的なトレーニングの実施など、多角的なアプローチを検討していくことが可能です。

12. 溶接仕上げ(日本)

溶接士の認定プロセスには、IS 817に基づく認証に加え、WRI TrichyやRDSOにおける所定の実務経験および研修受講を要件とする、多層的な審査メカニズムが導入されています。

ムンバイ・アーメダバード高速鉄道(MAHSR)プロジェクトにおいては、溶接および品質管理の専門家として、「国際溶接技術者(IWE)」の資格を持つ国際的な専門家を招聘することが計画されました。IWEには、その他の資格要件に加え、高速鉄道プロジェクトにおける監督者または品質保証エンジニアとして、最低10年間の実務経験を有することが求められます。

溶接士は、国際溶接技術者(IWE)による試験を受けます。試験において溶接士は、指定された寸法に基づき、垂直姿勢(立向溶接)にて6mmのすみ肉溶接を施した試験片(T継手)を作成します。作成された試験片は、外観検査および破壊試験に供されます。IWEは、試験片に亀裂、ブローホール、スラグ巻き込み、溶融線の不均一性などの欠陥がないかを詳細に検査し、その結果に基づき認定報告書を作成します。不合格となった場合、当該溶接士は再教育(研修)を受けた後、改めて後日、再試験を受けることになります。

溶接士の認定プロセスに関して、日本においても同様の運用が行われています。ただし、特筆すべき相違点の一つとして、日本では溶接士が有害なヒュームやガスから身を守るために、呼吸用保護具(防じんマスク等)を装着することが一般的である点が挙げられます。

組み立ての確認

製作工場における鋼橋の仮組検査は、建設プロセスにおける極めて重要な段階であり、橋梁部材が建設現場へ輸送される前の、決定的な品質保証ステップとしての役割を果たしています。

13. 進行中の組立検査

MAHSR橋梁の場合、仮組み工程では、すべてのスパンを支承上に設置し、すべての節点で桁を適切に支持します。この段階では、桁の寸法公差、すなわちスパン長、上弦材と下弦材の中心間の距離、アライメント、高さ、部材のずれ、穴の平坦度、部材の曲げ、キャンバーなどについて、包括的な検査が行われます。各節点における荷重伝達量を正確に測定するために、ロードセルが使用されます。さらに、各節点および接合部におけるドリフトおよびボルト締め計画が綿密に作成され、架設チームに引き渡されます。

同時に、仮組み工程では、各部材が架設現場に到着するまで追跡可能性を維持するために、識別およびマーキングが行われます。特に、継手板などの同一部材については、架設工程を妨げる可能性のある位置決めミスを防止するために、追跡可能性が極めて重要です。

この仮組み工程は、桁を両端で支持し、キャンバーを測定する従来の方法とは大きく異なります。

ブラストおよび塗装

鋼材は強度と耐久性に優れる一方で、腐食しやすいという性質を持っています。そのため、架設後および橋梁の供用期間を通じて、細心の注意を払った維持管理が求められます。日本では、鋼構造物に対して『防食便覧』に規定された「C5塗装系」が適用されています。インドのムンバイ・アーメダバード高速鉄道(MAHSR)プロジェクトにおける鋼橋においても、このC5塗装系が採用されています。

14. 参照用試験製作部材への第1層〜第5層の施工完了(外側から内側へ)

日本において50年もの歳月をかけて、様々な組み合わせやバリエーションを経て開発されたC5システムは、同地において全面的に採用されています。このシステムは、メタライゼーションを施した後に、エッチプライマーを1層、亜鉛クロムプライマーを1層、さらにアルミニウム塗料を2層塗布するという、IRS-B1で推奨されている標準的な塗装システムとは大きく異なるものです。

15. 全5層の膜厚測定

その名の通り、C5は5層の塗装工程を意味します。この工程は、ISO 8501-

1規格におけるSA2.5等級の達成を目標とした、表面の前処理から開始されます。続いて、無機ジンクリッチ塗料、エポキシ樹脂塗料(2層)、およびフッ素樹脂塗料(2層)が順次塗布されます。前述のハンドブックには、様々な条件下における表面仕上げ、塗料の種類、および必要とされるDFT(乾燥塗膜厚)に関する詳細な指針が示されています。

16. 日本およびインドで採用されている、タギングによるスプライスプレートのトレーサビリティ

日本腐食防食ハンドブック(C5、Spec V)に記載されている外部一般部材(External General Parts)に対する塗装材料およびDFT(乾燥塗膜厚)の代表的な組み合わせは以下のとおりです。

番号 場所 工程 塗料種類 目標DFT (μm)
1 外部一般部 表面処理 ブラスト処理:ISO Sa2.5
2 第1層 / 第1塗装 無機ジンクリッチペイント 75
3 第2塗装 / ミストコート エポキシ樹脂塗料(ミストコート) -
4 第3塗装 エポキシ樹脂塗料 120
5 第4塗装 フッ素系下塗り 30
6 第5塗装 フッ素樹脂塗料 25
交通機関

桁部材の輸送は、その重量や塗装面の損傷リスクにより、困難を伴う場合があります。こうした課題を軽減するため、桁は断面形状を維持し、板厚方向の応力を最小限に抑えるよう慎重に支持されます。さらに、架設作業を円滑に進めるため、各部材には明確な標識が施されています。

17. 輸送用梱包配置
結論

これまでの議論は、共通の目標達成に向けた、それぞれ異なるアプローチを比較検討する上で有益な知見をもたらすものでした。好景気に沸き、政府主導によるインフラ整備が強力に推進されている現代において、製造加工業界は今後数年間にわたり、持続的な成長を遂げる好機を迎えています。国際的なベストプラクティスから得られるこうした知見は、当社の製造現場における生産性を向上させるとともに、厳格な品質管理体制の下で高品質な製品を確実に供給していくための、極めて貴重な指針となることでしょう。日本の卓越した技術・ノウハウに範をとった革新的な手法の導入は、インドにおける鋼橋製造の新たな時代の到来を告げる、希望の光として輝きを放っています。

シュシュマ・ガウル
ゼネラルマネージャー,
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ニシャンク・バヌ氏
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プージャ・シンさん
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