報道関係者向け資料:ヴァドーダラ高速鉄道駅の線形再設計
公開日: 04-03-2021

ムンバイ・アーメダバード高速鉄道(HSR)のルートは、その大部分が未開発地(グリーンフィールド)を通過するため、高速走行の要件を満たすべく、基本的には直線的な配置が採用されています。しかし、ヴァドーダラ、アーメダバード、およびサバルマティの各地点においては、HSRのルートを既存のインド鉄道(IR)駅の近くに通すよう変更が加えられました。これは、乗客が両交通機関の間で円滑かつ快適に乗り換えを行えるようにするためです。鉄道駅周辺は極めて混雑した市街地であるため、このような統合ルートの採用は、用地取得、インフラ(ユーティリティ)の移設、道路の付け替え、複合交通計画の策定、そして現役の鉄道線路に近接した場所での建設工事といった面で、多大な困難をもたらしました。変更後のルートは主要駅舎の正面を通過する形となりましたが、駅前広場や周辺環境の整備・向上に向けて、あらゆる努力が払われています。

当初の計画案:

HSRルートに関する最初の調査は、2017年初頭に実施されました。ヴァドーダラ駅周辺エリアにおける当初のHSRルート案では、プラットフォーム付近のヤード(操車場)を横断し、東から西へと抜ける設計となっていました。このルートでは、およそ13本もの鉄道線路を跨ぐ必要がありました。西から東へと線路群を跨ぐために計画された橋梁の支間長は、100m、220m、120mという構成でした。日本の新幹線ネットワークにおいても、これほど大規模な橋梁が建設された前例はありません。この橋梁建設に必要と見積もられた鋼材量は、25,000トンに達するものでした。

この計画案が抱えていた課題は、以下の通りです:

  • 困難な架設工法: 提案された架設工法は、設計上の最大の難点となっていました。特に、支間長220mの主桁を回転させるための「ピン(支点)」の設計には、極めて高度な技術的課題が伴いました。このような特殊な架設工法が実際に施工された前例は、世界中どこにもありませんでした。主桁を架設するにあたっては、現役で列車が走行している線路上空に仮設桁を設置・送り出す必要があり、その維持管理は極めて困難なものと予想されました。また、建設工事期間中における乗客の安全確保も、重大な懸念事項の一つでした。さらに、鋼桁の製作から架設完了までに要すると見積もられた期間は66.6ヶ月に及び、プロジェクト全体の工期スケジュールに適合しないものでした。
  • インド空港公社からの許可取得: 当該建設予定地は、ヴァドーダラ空港への進入飛行経路直下に位置する「レッドCCZM(航空制限区域)」内に含まれていました。そのため、インド空港公社(AAI)からの正式な承認・許可を取得する必要がありました。
クレーンの打ち出しアームは海面基準高(MSL)131mに達する予定でしたが、AAI(インド空港公社)の基準では95.910mまでしか許容されていませんでした。打ち出し作業中は航空便の欠航が余儀なくされるため、この計画は承認されませんでした。
  • ヴァドーダラー駅6番ホームへの重大な影響: 新しい高速鉄道(HSR)駅は6番ホームの上部に計画されており、その基礎部分は運行中の鉄道路線に極めて近接していました。12m×12mの柱配置(グリッド)に基づく3〜4年にわたる建設工事には、段階的な施工と厳格な乗客安全対策が求められました。

新たな計画:

定期会議での協議を経て、東側で線形を直線に維持し、ヤード(車両基地)の手前で線路を横断する案の実現可能性を検討することが決定されました。

本計画は、以下の前提条件の下で実現可能であると判断されました:

  • 線路曲線の変更:ヴァドーダラ(Vadodara)における線形は、高速鉄道の要件および新たな線形上の必要性に合わせて、全面的に見直され再配置されました。
  • 駅位置の変更:駅の位置が、プラットフォーム6番線側(西側)からプラットフォーム7番線側(東側)へと移設されました。
  • 高架構造の変更:高速鉄道(HSR)の線路が、ポータル式橋脚を用いた標準的な40mスパンで、在来鉄道(IR)の線路を跨ぐ構造となりました。

新線形の利点:

  • 工期の短縮: 工事期間は、当初の計画(66.6ヶ月)と比較して、約48ヶ月での完了が見込まれます。
  • 設計の複雑性の低減: 橋梁スパンの大部分が標準化されたため、特殊な橋梁設計を行う必要性が低減されました。
  • 駅位置の最適化:
    • 中央および地域のバス発着所(バスターミナル)に近接し、交通結節機能(マルチモーダル接続)が向上しました。
    • 主要なプラットフォームすべてが高速鉄道駅と接続され、道路からのアクセスも改善されました。
    • プラットフォーム7番線付近に十分なオープンスペースが確保され、多機能複合施設、駐車場、および下水処理施設の設置が可能となりました。
  • DSSおよびSERの適切な配置: DSS(変電所)およびSER(信号機器室)の全施設を、高速鉄道駅の近傍に配置することが可能となりました。
  • 経済的利益: 約200億ルピー(2000クロール)のコスト削減が見込まれます。
  • 大規模な立ち退きの回避: 商業施設や住宅への影響(立ち退き)が低減されました。
  • 道路アクセスの維持: 高速鉄道の高架橋の下を通る駅周辺の道路について、通行止めなどの規制を行う必要がなくなりました。



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