公開日: 08-05-2020
「メイク・イン・インディア」イニシアチブはいかにして高速鉄道プロジェクトに弾みをつけているのか
アジア全域において最も急速に発展している二国間関係の一つとして認知されている日印パートナーシップは、これまでに目覚ましい進展を遂げてきました。両国が今、インド初となる高速鉄道(通称:弾丸列車)の導入に向けて手を携えていることで、このパートナーシップは今後さらに強固なものとなることが確実視されています。全長508kmに及ぶ「ムンバイ・アーメダバード高速鉄道プロジェクト」は、同路線沿いに設置される12の駅間の接続性を大幅に向上させることになります。その12駅とは、BKC(ムンバイ)、ターネ、ヴィラール、ボイサール、ヴァピ、ビリモラ、スーラト、バルーチ、ヴァドーダラー、アーナンド、アーメダバード、そしてサバルマティです。また、このパートナーシップは、インド産業界(India Inc.)が長年心血を注いできたもう一つの大義、すなわち「メイク・イン・インディア」を通じてインド経済を活性化させるという目標にも、新たな弾みを与えることとなりました。
「メイク・イン・インディア」とは何か?
「メイク・イン・インディア」イニシアチブは、より広範な国家建設構想の一環として、ナレンドラ・モディ首相によって2014年9月に立ち上げられました。インドを世界的なデザインおよび製造のハブへと変革することを目的として策定されたこの構想は、瞬く間にインド国内の無数のステークホルダーやパートナーたちの結束を促す合言葉となり、また世界中の潜在的なパートナーや投資家たちに向けた魅力的な招待状となりました。その結果、極めて短期間のうちに、この構想は国内への投資促進、イノベーションの創出、人材スキルの開発、知的財産(IP)の保護、そして世界最高水準の製造インフラの構築を牽引する原動力となりました。この進展を示す最も顕著な指標として挙げられるのが、鉄道、防衛、保険、医療機器といった主要セクターにおいて、かつてないほど大幅な水準まで「外国直接投資(FDI)」の受け入れが開放されたという事実です。
この取り組みは、2兆ドル規模に達するインド経済における製造業の比率を2022年までに25%まで引き上げ、1億人の雇用を創出することを目的としています。「Make in India」に関する詳細情報は、ウェブサイト(www.makeinindia.com)および産業政策振興局(DIPP)のウェブサイト(https://dipp.gov.in/)にてご覧いただけます。
MAHSRプロジェクトにおける「Make in India」の役割
本合意の一環として、ムンバイ・アーメダバード高速鉄道(MAHSR)プロジェクトを通じ、インドは「Make in India」および「技術移転(Transfer of Technology)」という2つの主要な推進要素の促進に注力します。日本の技術と、世界水準の部品製造におけるインドの専門知識とが融合することは、本プロジェクトにとって極めて大きな恩恵をもたらすこととなるでしょう。本プロジェクトにおける技術移転(ToT)の一環として、インド国内で製造される部品については、日本側がその設計図や製造手法をインド側のパートナーと共有します。さらにその後、インドは「Make in India」構想の下、計画の条件に基づき、プロジェクトに関連するこれらの要素を複製・再現していくことになります。
これら2つの推進要素を促進することを通じて、インドは国内に製造拠点を確立し、新たな雇用を創出するとともに、既存の労働力のスキル向上を図ります。また、関連産業(鉄鋼、セメント、電気部品、インフラなど)に活力を与え、日本が活用している最新鋭の技術や将来有望な技術への足がかりを築くことにもつながります。
具体的な数値で見ると、本プロジェクトは経済成長を促進し、雇用機会を創出すると推定されています。建設段階では最大2万人の雇用が生まれ、保守・運行段階では4,000人の直接雇用、さらに推定2万人の間接雇用が創出される見込みです。
それだけでなく、本プロジェクトは沿線地域の社会開発を促進することにも寄与すると期待されています。
さらに、本プロジェクトが全国各地に生産拠点を設置することで、その効果が波及し、物流ハブ、近代的な都市開発、産業施設などの創出に向けた新たな道が開かれるという事実は、本プロジェクトがもたらす「トリクルダウン効果(波及効果)」を如実に物語っています。
本プロジェクトにおける「メイク・イン・インディア(Make in India)」の推進状況
いかなるプロジェクトにおいても、議論、連携、アイデアの交換、そして実行は、その成功を左右する極めて重要な要素となります。ムンバイ・アーメダバード高速鉄道(MAHSR)プロジェクトの目的は、インドが技術の最前線に立ち、国際水準のエンジニアリングやサービス構築において世界と肩を並べる実力を有していることを実証することにあります。そのため、綿密な計画に基づき、高性能かつ高効率なプロジェクト遂行のための包括的なエコシステムを構築すべく、あらゆる手段を講じて取り組んでいます。以下に、MAHSRプロジェクトのガイドラインに基づき、「メイク・イン・インディア」の目標達成に向けてこれまでに講じられてきた主要な取り組み(アクションポイント)の一部をご紹介します。
- MAHSRプロジェクトにおける「メイク・イン・インディア」の目標達成に必要な具体的施策について、産業政策振興局(DIPP)や日本貿易振興機構(JETRO)といった主要なステークホルダーが主導する形で、頻繁に協議が重ねられています。
- 「軌道」「土木」「電気・信号通信(S&T)」「車両」という4つの主要な分科会(サブグループ)の間で、定期的かつタイムリーな協議や会合が開催されています。これにより、「メイク・イン・インディア」の対象となり得る資機材やサブシステムを特定し、必要に応じて即座に具体的な措置を講じる体制が整えられています。これらの分科会は、インドおよび日本の産業界の代表者、ならびに産業政策振興局(DIPP)の幹部職員等によって構成されています。
- 産業政策・振興局(DIPP)、NHSRCL、および日本貿易振興機構(JETRO)
本協定における「メイク・イン・インディア(Make in India)」要素を推進し、インド企業と日本企業との連携を促進するために採用されている協議の枠組みは、大きく以下の3つのカテゴリーに分類されます。
- サブグループ会議:産業政策・振興局(DIPP)、鉄道省、国家高速鉄道公社(NHSRCL)、国土交通省(MLIT)、日本貿易振興機構(JETRO)、在インド日本国大使館、東日本旅客鉄道(JRE)の代表者らが参加します。また、インド産業界の代表者として、インド産業連盟(CII)、インド商工会議所連盟(FICCI)、インド商工会議所連合会(ASSOCHAM)といった業界団体の代表者を含む多数の関係者が参加しています。
- ワークショップ:本プロジェクトに関わる様々なステークホルダーを対象としたワークショップが、インドおよび日本において定期的に開催されています。これらの終日開催のワークショップは、既存のパートナー企業による確実な参加を促すとともに、潜在的な投資家や関心を持つ企業を広く募るため、十分な期間をもって事前に告知されます。ワークショップの終了後には、インド企業と日本企業との交流の場として、B2Bミーティングや個別協議が実施されます。直近では、東京にてワークショップが開催され、その翌日にはインド企業による日本企業の視察が行われました。
- タスクフォース会議:これらの会議の目的は、すでに実施に移された計画の進捗状況を確認するとともに、本プロジェクトに関する今後の展望や方針について協議することにあります。最近DIPPにて開催された会議においては、サブグループ会議やワークショップの進捗状況に関するレビューが行われたほか、今後の活動に向けたアクションプランの策定・最終化が行われました。
- これらの検討会議には、DIPP(商工省産業政策振興局)、鉄道省、NHSRCL、国土交通省(MLIT)、JETRO、在インド日本国大使館、JREなどの代表者が出席しました。 このようなワークショップや会議を通じて、インドおよび日本の建設会社、製造業者、起業家に広く働きかけることで、MAHSRプロジェクトは両国間の前向きな貿易連携を促進し、インドにおける技術進歩のさらなる可能性を切り拓いています。 以下の品目に関する概要は、当ウェブサイトの「Make In India」セクションでもご覧いただけます。
- 架線柱(鋼製マスト)
- レール転倒防止装置
- 埋込インサート
- セメントアスファルトモルタル(CAM)
これら以外にも、インド初の高速鉄道の建設過程において、インド国内で製造され、広範に活用される予定の品目が多数リストアップされています。現段階におけるニーズを特定し、その実現に向けた調達先を確保するための取り組みが、現在も継続的に進められています。詳細については、NHSRCLのウェブサイトにて詳しくご確認いただけます。
「Make in India」は、インドと日本の双方にとって「ウィンウィン」の関係となり得るか?
本プロジェクトは、間違いなく「インド産業界(India Inc.)」にとって新たな栄誉となることでしょう。我が国のような成長途上にある国にとって、あらゆる産業分野で経済活動が活発化するというニュースほど喜ばしいものはありません。日本の企業の皆様には、ぜひインド国内でのパートナーシップ構築や製造拠点の設置をご検討いただきたく存じます。また、インド企業の皆様には、この機会を捉えて技術力の向上を図っていただきたいと思います。これにより、巨大かつ成長著しいインドの鉄道市場や都市鉄道(メトロ)市場への参入機会も開かれることになります。インド国内での生産コストを低く抑えることができれば、日本製品の価格競争力が高まり、他国への輸出においても優位に立つことができるでしょう。日本側だけでなく、インド側にとっても、より優れた技術や製造・建設手法を取り入れることで、大きな利益が得られることになります。したがって、これは両国にとって「ウィンウィン」の関係となる提案なのです!
高速鉄道プロジェクトにおける「メイク・イン・インディア(Make in India)」の側面に関する詳細情報は、こちら(nhsrcl.in)をご覧ください。
参考文献:
https://bit.ly/2WI2Df0
https://dipp.gov.in/
www.makeinindia.com